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長崎カステラ独特の風味を今に守り伝える、福砂屋の「手わざ」

 社名に「カステラ本家」と入れて堂々と名乗る福砂屋との出会いは、2004年の誕生日に長崎を訪れてカステラの食べ比べをした際に、ここが一番おいしいカステラなんじゃないだろうかと思った時だったと記憶している。

創業400年の老舗の中の老舗

 創業は、なんと大阪夏の陣のわずか9年後の寛永元年(1624年)という、約400年もの歴史を持つ老舗の中の老舗で、「文明堂」「松翁軒」と並んでカステラ界では御三家と称されているようである。

 カステラといえば、筆者にとってはマドレーヌやショートケーキと同じように、幼い頃から馴染みのあるお菓子であり大好物だ。ポルトガルから伝来されたとされているようだが、日本独自の発展をしてきた和菓子だと筆者は解釈している。

福砂屋の「手わざ」

 福砂屋の一番の売りは、創業以来一貫して不変の、職人の「手わざ」(ミキサーを使わない手作り)による製法が生み出す、しっとりした感触と馥郁(ふくいく:よい香りが漂っている様子)とした味わい、ということが福砂屋オフィシャルサイトに記載されている。我々も食す際には、馥郁を存分に味わいたいところだ。

「手わざ」の主な特徴としては、

  • 全ての工程(卵の手割り、泡立て、混合、撹拌、釜入れ、焼き上げまで)を一人の職人が仕上げ切る
    時代の逆を行く手間のかけ方から、ふくよかな味わいが生まれるとしている。
  • 手間をかけることを惜しまない別立法を採用
    別立法:白身だけを細心の注意を払い充分に泡立て撹拌してから、黄身、双目(ザラメ)糖、上白糖、水飴、小麦粉と順次泡を生かしながら混合撹拌する手法
    ミキサーによる撹拌では決して出来ない、別立法による「手わざ」ならではの美しい気泡が、ふっくら、しっとりとしたカステラを生み出すとしている。
  • 長崎カステラの特徴の一つである、カステラの底にある双目糖の口当たり
    双目糖を撒いた上に生地を流し込む手法とは根本から異なり、双目糖の角を磨り減らしながら生地になじませ、その一部を沈ませて底の方に残すという鍛錬を重ねて得た神業的な手法だ。
    溶けたザラメ糖はコクにつながり、上品な甘味へ変わり、角を磨り減らされて底に残ったザラメは心地良い口あたりを伝えるとしている。

    色合いといいその佇まいといい、最早芸術品のように思える。

 なお、材料は、卵、小麦粉、上白糖、双目糖、水飴(米飴)のみで、添加物等は一切使用していないことも食の安全への安心感に繋がっている。

 また、熟練の職人が技と勘で仕上げていることで、厳密に言うと一釜一釜、味や色などが異なると公言しているのも粋を感じる。

気分がアガる”フクサヤキューブ”

 これまで見てきたように製造工程でのこだわりも凄いのだが、更に販売手法も秀逸であることにも触れておきたい。

 従来カステラを食べる時には、箱から食べる分だけを取り分けて残りを冷蔵庫に仕舞うといったオペレーションが必須だったが、その面倒さを無くして、気軽にどこでも食べられるようにしたのが、”フクサヤキューブ”という商品だ。

白とオレンジのツートーンカラーのキューブ(三越日本橋本店購入ver.)

 二切れのカステラを、キューティーな小箱に包んだ”フクサヤキューブ”はお土産や贈答品に持って来いだろう。
 販売地域や、季節によってパッケージデザインが何種類にも及んでいて、季節を感じる贈り物としてもイケてるし、紅白や金銀の特別色のパターンや干支仕様のもの等はおめでたい場面にも重宝しそうだ。

 伝統の手作りに裏付けられた”古風な重さ”と革新の販売による”ポップさ”が共存共鳴した、正に”Amazing Meal”の名に相応しい一品だ。