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2nd Life from46

往年の想いを満たす時が来た、「A列車で行こう」に没入する至福の時間

 自らの意思で何かの物事に純粋に没入することはアーティストデートに他ならない。旧PCでは何故か起動しなかった「A列車で行こう9 Version5.0 ファイナル コンプリートパック」を新PCで試してみると見事に起動する。となると筆者の街づくりへの執着が頭をもたげてきて、目下の関心事の第一を占めるまでになってしまった。もともとやりたくて購入したものだっただけに、今更ながらも情熱が涌き出て来るのを止められない。序盤の歩みを書き留めておこうと思う。

船橋市再現の試み

 「A列車で行こう」は、株式会社アートディンクが開発した、都市開発、鉄道運営、会社経営の三要素を併せ持つ、都市開発鉄道会社経営シミュレーションゲームで、1980年代半ばの初代より続くロングセラータイトルである。過去(いつだか忘れるくらい過去、記録好きと言えどさすがにこの記録は無し)に一度か二度程度いじったことがある程度で全くの初心者であるが、これは面白い、いつか自分で買ってプレイしようと思っていたタイトルである。そしてファイナルコンプリート版を満を持して購入したのだが前述の通り、宝の持ち腐れ状態となっていたわけである。小学校時代の友人宅でのNゲージへ憧れた想いと相まみあって、かりそめの操作ではなく、ようやく自身の手の内で実現できる場を自らに提供出来るようになって、鉄道オタクには成り切れなかったもののその資質を存分に発揮出来る時が来たのである。”大人になる”とはこういうことなのだろう。

 最初はどんなものだかいじりながら仮想の自由な街づくりにいそいそといそしんでいたのだが、家族との会話の中で自分の所縁の街を再現してみたら?というようなサジェスションがあり、なるほど面白そうだとその向きに舵を切ることにする。
 本作品では10km四方の面積分を描くことが出来るが、船橋市を再現してみようと思った時、全域はカバー出来ないものの、おおよその地域は包含出来そうである。

画像読込みによる地形編集

 ゲーム画面上の「Edit-地形編集」で、埋立地の海岸線の地形をコツコツと地形加工して、地図とにらめっこしながら何度もやり直しを繰返しているうちに、今やっていることが筆者が思っていた以上に激ムズであることが体で分かってきた(完全にナメてました、失礼しました)。
 そこで取組みの姿勢を正し(本気で当たらせて頂きます)、気持ちを切り替えネットで情報をリサーチすると、画像読込みという機能が具備されていることが分かってくる。国土地理院のマップを使って船橋市の標高差も含めた地形をゲーム上に再現出来るわけだ。手順は下記のとおり。
  • 国土地理院 サイトへアクセス
  • 地理院地図」の「自分で作る色別標高図」を選択し、標高と白黒グラデーション指定をする
  • 出来た上がった白黒グラデーション地図を、最も標高の低い海の部分を黒く塗りつぶし(最も標高が低いことを示し)、上記で指定した範囲(船橋市の10km四方)に合わせて切り抜く。
  • ゲーム画面上の「Edit-画像取込み」にて作成した地図を反映

自然な仕上がり具合は元より、位置関係もしっかりと反映される。

創造性は制約があるところに生まれる

 作業の最中、創造性は制約があるところに生まれる、という先日読んだ書籍のフレーズがリフレインして思い出される。アーネスト・ヘミングウェイが友人達と、たった6単語で物語が書けるかどうか賭けをしたという逸話を例示して、真の創造力を発揮するには制約が必要だ、と説いていた箇所である。

ヘミングウェイはやってのけました。ただの物語を書いただけではなく、見事に感情を揺さぶったのです。信じられますか?
「For sale:baby shoes,Never worn.(売ります。赤ん坊の靴。未使用)」
『FIRE 最強の早期リタイア術』(著者:クリスティー・シェン(Kristy Shen)、ブライス・リャン(Bryce Leung)、訳者:岩本正明、発行所:ダイヤモンド社、初版:2020年3月18日)

 街を再現するにも現実とゲーム世界では選択肢に雲泥の差が有り(例えば、線路や道路の施設角度は8方向に限定、建物の種類や大きさも与えられたものを使用、電車や車の種類も同様、等々)、ありのままにというわけには全くいかない。そこをどうデフォルメしたり特徴をとらまえて、自身が納得出来る形に表現するのかが醍醐味になってくるわけである。

 (ナメてた時の)1km四方での地図での位置確認ではアバウトになってしまうので、(本気の今は)100m四方の方眼を地図に当てはめてマップ構築していくこととする。

200mまで拡大したGoogleマップを何枚も地味に繋ぎ合わせて作成。

 長々綴って来てしまったが、地形を作成しているだけであって、まだ全く持って街づくりに入っていないのはお気付きの通りだ。

いざ街づくりへ

 まずはこのゲームの主体となる鉄道網から入りたい。船橋市にはJRが4路線、私鉄が5路線の全部で9路線が存在するが、北部をちらっと横断する北総公団線は、今回の範囲の対象外となる。
【JR】
総武快速線(駅番号JO)
総武線(JB)
京葉線(JE)
武蔵野線(JM)
【私鉄】
・京成線(KS)
新京成線(SL)
東武野田線(TD)
 この中から、構築の優先順位は、隣街(このゲームではマップ外をこう呼ぶ)と接続出来る駅からとする。資源や人の流入が図れて、筆者が手を加える以外での街の発展が期待出来るというわけだ。

まず最初に着手するのは、県下最大の利用客数と言われている、立体交差駅である「西船橋駅」。

ゲーム仕様上の最大駅舎を「船橋駅」で使用する。総武快速線総武線の良く見るコラボレーションを実現。

 駅と線路の構築は方眼地図とゲーム画面のにらっめっこの連続なので、集中力が途切れてくると先走って、船橋漁港と中山競馬場を配置してしまう。

漁師町としての風情を今に残す「船橋漁港」。

年末の有馬記念(GI)が開催される「中山競馬場」。
 普段街を出歩く際にも、辺りの建物や駅の構造だったり、これまで気にもしてなかった些細な部分に気が向いたり、これを作るのは一体どうやったのだろう、大変だっただろうなという構造物や建築業者への畏敬の念を抱くことになる。創造性の醸成、細部へのこだわり、といったことへの執着に鑑みると、益々アーティストデート活動そのものに思えてくるのである。
 因みに、以上はゲーム本編ではなく、「マップコンストラクション」というゲームから離れて街づくりのみに専念出来る機能を実施している。ゲームの本編以外でもここまで熱中を呼び起こすゲームソフト「A列車で行こう」、恐るべし秀逸さレベルである。