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2nd Life from46

「通勤費支給」が「旅費支給」に変わることで何が変わるのか?

 来月から勤務先の事業部では「リモートスタンダード」という勤務体系が導入されることとなって、勤務地が自宅となり、通勤費支給が停止されて、職場に出社した場合等移動でかかった費用は全て旅費で支給されることになるとのこと。

 筆者の所属する部門は来月からの導入は見送ったようだが、筆者自身も基本的には週2日の出社としており、近い将来そうなっていくことが濃厚な情勢に思う。

 さて、今回は、会社から支給される「通勤費」が「旅費」に変わることで何が変わるのか?ふと気になったので、書き留めておこうと思う。

 サラリーマン生活24年目のこれまで全く気にも留めていなかった「通勤費支給」と「旅費支給」の違いだが、思えば課税対象がどうだとか社会保険料徴収額がどうだとか言ってた人はいた気はする。つくづく、金のために働いてきてないと言うと正しくないような、金にまつわる社会の仕組みに疎いという方が合致するのか、典型的な為されるがままのサラリーマン人生を送ってきてしまったが、このようなことが気になるということは、社会保険労務士の受験生っぽくなってきた気がしないでもない。

「通勤費」と「旅費」の違い

 通勤費と旅費は、交通手段に要した費用について会社が負担をするという点においては違いはありません。

 通勤費は、電車やバスなどの公共交通機関の利用料金に代表される、自宅から指定された勤務地へ通勤するための費用を会社が支給するものを言います。性質としては福利厚生としての費用と言えるでしょう。筆者の場合は、コロナ以前は6ヵ月の定期代が半年毎に給与に上乗せされて支給されており、リモートワーク制度が開始されてからは、実費が毎月の給与に上乗せされて支給されるようになりました。

 一方で旅費は、会社の業務上の命令で指定された勤務地以外の場所へ向かうための交通費と、その業務に必要な経費を会社が支給するものを言います。性質としては会社が負担すべき費用を従業員が立替払いをし、その精算を行う費用と言えるでしょう。筆者の場合は、出張の都度、給与とは別に給与とは別の口座へ振り込まれています。

 要するに通勤費と旅費の違いは、指定された勤務地での業務かどうかということで、指定された勤務地での業務は通勤費に該当し、それ以外の場所での業務は旅費に該当するということになります。

 余談になりますが、労働基準法等の法律上では通勤費に関する規則は設けられていないことから、企業は従業員に通勤費を支払う義務はなく、またその支給方法や支給基準、支給時期等も各企業の裁量で決めることが出来るものとなっています。ただし、通勤費を支給する場合には、雇用契約書(労働条件通知書を含む)や就業規則に、通勤費の支給基準を明確に記載する必要があり、基準に則って支給することとなっています。

「通勤費」の所得税、住民税の課税有無

 一般的に通勤費は、自宅から通常の勤務場所までの交通費として一定金額を、月々の給与に上乗せする形で支給されていると思います。筆者の場合も給与明細に掲載され給与と一緒に振り込まれます。そこで気になるのが税金(所得税と住民税)です。給与の一部として所得として扱われてしまうのでしょうか?国税庁のサイトに下記のようにその解が掲載されています。

電車やバスだけを利用して通勤している場合

この場合の非課税となる限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。

新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。

最も経済的かつ合理的な経路および方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります。

国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当

 筆者も片道2時間の長距離通勤の部類だと思いますが、6ヵ月定期で20万円程度だったと記憶しているので、1か月当たり15万円を超えるというのは相当な額なので、大抵は非課税と考えて良いでしょう。安心です。

「通勤費」は各種社会保険料の算定に含まれる

 一方、所得税や住民税では非課税とされている通勤費ですが、各種社会保険料(健康保険料、介護保険料、雇用保険料、厚生年金保険料、企業年金基金掛金)の算定には、現在の社会保険制度上の報酬に該当するとされ、含まれてしまいます。通勤費の金額が大きい人ほど、支払うべき社会保険料が多くなる仕組みです。同じような交通費であっても旅費については、業務遂行上必要な経費を立て替えただけということで給与には含まれず、従業員の社会保険料負担額、会社の社会保険料負担額に影響を与えないため、徴収される目先の保険料という面では有利な扱いとなるわけです。不思議です。

「通勤費支給」から「旅費支給」に変更される場合の具体的な影響度

 職場で「リモートスタンダード」が導入され通勤費支給から旅費支給に変更されれば、各種社会保険料の天引き額が若干軽減される可能性があることは良いことのように思うが、いくらぐらいの影響があるのか試算してみました。

[通勤費/月]※先月と今月の出社回数は月9回

 出社回数(9回)× 往復運賃2,418円=21,762円

 実際には上記の金額が直接的に影響するというより、「標準報酬月額」の等級に影響のある(下がる)インパクトがあるかどうかになるが、筆者の該当する等級ゾーンは報酬月額が30,000円単位での階層割りになっていることから、一つ下の等級になる可能性はありそうだ。

 そして各種社会保険料として、下記の通りの率で天引きされている。

[各種社会保険料率(自己負担分)/月]

 ・健康保険料:4.56%

 ・介護保険料:0.85%

 ・雇用保険料:0.30%

 ・厚生年金保険料:9.15%

 ・企業年金基金掛金:0.40%

  合計:15.26%

 「標準報酬月額」の等級が一つ下がると想定した場合の影響額は、下記の通り。

[影響額/月]

 30,000円 × 15.26%4,578円

 月に4,578円(年に54,936円)の天引きが抑えられるようになったとすると嬉しい限りだ。また、天引きされている率を調べる切っ掛けになって、サラリーマンの金にまつわる仕組みの一つについて理解が深まったのは良いことだっただろう(社会保険労務士試験の試験範囲なのかは分かっていないけど・・・)。

 既に4月~6月の給与で「標準報酬月額」が算出されてしまっているので、「標準報酬月額」 が決定している9月から来年の8月までの1年間には影響が無く、「リモートスタンダード」が今年度中に導入されれば、来年の9月から影響が及ぶ可能性が出てくることになる。

通信教育教材が到着

 ところで、いよいよ通信教育教材が大量に到着。現時点での勉強進捗は、入門参考書を1回読み終えて、累計12時間20分の対標準進捗37.3%。入門参考書の各科目章末にあるチェック問題で正答率の低かった、「健康保険法」と「雇用保険法」から取り掛かろうと思う。

到着した大量の通信教育教材