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2nd Life from46

急性心筋梗塞に伴うカテーテル手術を経て、心身共にセカンドライフへ

 救急車で救命救急センターに搬送されてから二時間は経ったと思われる二度目の血液検査の後、「カテーテル検査をして、悪ければそのまま手術をします」と、手術同意書にサインを迫られる。(カテーテルって血管に管通すやつ?痛くないの?ステントを血管に埋め込むって?金属を体内に置き去りにしてしまって大丈夫なの?)
 血液検査前の状況から一変した雰囲気に気が動転し始める。

 「先生、本当にそれをやらなければ駄目ですか?」
 「急性心筋梗塞です。最悪心臓が止まってしまいます、すぐにやる必要があります。」
 付き添いで傍に居てくれている上司と顔を合わせるも、やるしかないだろうという表情・・・。一応、奥さんに電話させてもらい状況を伝えるも、やるしかないでしょ、という反応・・・。
 「分かりました。先生を信じてお任せします。」

心筋梗塞の手術

 今さっき出会ったばかりの若い女医に自分の命を預けることになるという巡り合わせや偶然の出会いばっかりが人生だ、みたいな想いを馳せながら、可能性としてはとても少ないが、手術をすることで脳血管障害等の重篤な合併症を引き起こす可能性があり得ること、最悪心停止することがあるかもしれないこと等の医師としての義務工程ではある、暗澹たるフレーズが耳に入ってきながらも、手術同意書にサインをして、手術室へ運ばれていく最中は、おそらく人生で初めて、もしかしたらここで人生が終わってしまうのかもしれない、ということがよぎった。

 心筋梗塞治療の第一選択は、再灌流療法(閉塞した冠動脈を再開通させ血流を回復させる治療法)で、今回筆者には、カテーテル治療であるPCI(percutaneous coronary intervention:経皮的冠動脈形成術)が適応された。手首の付け根から挿入したカテーテル血栓閉塞部まで通し、バルーンを膨らませて血管を拡張させて(空気を入れる)、血管内にステント(血管の再狭窄を防ぐ薬剤が塗布されたコイル状の金属)を埋め込む。広げられた血管は拡張したまま内側からステントで支えられる形になるため、再閉塞しにくくなる仕掛けだ。

心臓カテーテル検査による冠動脈撮影(造影剤を血管内に注入)。

 ”俎板の鯉”という表現がすっかり当て嵌まる状況で、これまでの人生での経験や知識が全く通用しない手術台の上で、カテーテルを突っ込んだ先の右腕を動かさないように全身固くなりながら、局部麻酔なので約2時間半の手術中、終始意識はあって、下半身の方で複数人の医師がモニターを見ながら何やら作業をしているのを感じ、医療スタッフ間の専門用語会話が聞こえ、体の所々が熱く感じたり冷たく感じたり、胸元の体内の中の方でもぞもぞとした違和感を感じたりしながら、ただただ時間が過ぎていくのを待つ。

 病名は、急性心筋梗塞(非ST上昇型心筋梗塞)で、救命救急センターにて緊急手術、循環器内科病棟へ入院。木曜の夕方に搬送されて、次の木曜日の午前中に退院と、丸一週間お世話になることとなった。

 心筋梗塞により、心筋が壊死してしまうと元には戻らないので、極力壊死を防ぐ(壊死の範囲を極小にする)ことが求められるとのことだが、筆者の場合は、昨日今日に血栓閉塞が起こったというよりは、慢性的な狭心症だった疑いが濃厚で、細い幾つかの血管が裏に回って血流の補完を担っていたりしていたようで(体の動き、働きは、創造を絶する)心臓のダメージは最低限に抑えられたと医師からの嬉しい証言。

退院の日の多摩総合医療センター(東京都府中市、2024.4.4撮影)

心筋梗塞後の日常生活

  • 薬の永続服用
     ステントを埋め込んだ血管に内膜が張るまでに時間がかかる(1年以上)ため、血をサラサラにする薬(抗血小板薬)を2種類、飲み続けて血栓閉塞を防ぐ必要がある。合わせて、コレステロール、血圧、心拍数等を抑える薬等、当面6個/日を服用する必要がある。
  • 禁煙
     自宅の電子煙草は奥さんによって機器諸共一切合切が捨てられており、紙煙草も含め初の禁煙生活へ。
  • 通院
     定期的(月1)に外来診察を受けて心臓の状況を確認することが必須となる。
  • 食生活
     食事量と飲酒量に歯止めをかけて(量より質への変換)、適正体重を維持することが必須(血栓閉塞の再発を防ぐ)。特に塩分(血糖も脂肪もだけど)量を6㎎/日を意識するように栄養士より指導有。
  • 血液が固まりづらくなるので、出血を伴う怪我や治療は気を付けないといけなくなる(お薬手帳必携)。

 入院時にたまたま鞄の中にあった本*1によれば、植物由来の食べ物を出来る限り自然に近い形(=ホールフード)で摂取することが理想とされていて、少し前に読んだ本*2では、肉、魚、乳製品、卵、油は一切口にしないで、全粒穀物製品、野菜、豆類、果物を食べることが心臓の機能を回復する、と書かれていたりする。『The China Study』出版からの流れを汲む、コリン・キャンベル一派の栄養学は今後よく理解して取り入れていく必要がありそうだ。

 また、心臓病が進行しない目安として、前述の著者、コールドウェル・エセルスティンJrは、総コレステロール値:150㎎/dl、LDL値:80㎎/dlを目安として挙げているが、直近の人間ドックでの数値を見てみれば、コレステロール値:265㎎/dl、LDL値:196㎎/dlと、さもありなんな状況だ。

 2022年(令和4年)から始まった”心の”2nd Life(from46)に次いで、いよいよ”体も”半ば強制的にセカンドライフ化し、ここに今ある生に感謝しながら心身共に(名実共に)セカンドライフを丁寧に生きていくこととしよう。

家族から図画工作メッセージが病室に届く。

*1:『WHOLE がんとあらゆる生活習慣病を予防する最先端栄養学』(著者:T・コリン・キャンベル(T.Colin Campbell)、監修:鈴木晴恵、翻訳:丸山清志、発行所:㈱ユサブル、初版:2020年2月4日)

*2:『血管をよみがえらせる食事』(著者:コールドウェル・B・エセルスティン・Jr(Caldwell B.Esselstyn.Jr)、訳者:松田麻美子、発行所:㈱ユサブル、初版:2020年12月7日)