たまに酒を軽く引っ掛けながら、蕎麦が食べたくなる時がある。昼に一人で飲む酒は酔いの回りが早く感じるが、気軽にほろ酔い気分に浸れるのが良い。
消費量と生産量共に国内トップクラスである隠れた”そば王国”とされる山形県在住時に鍛えられた蕎麦に対する筆者の味覚を唸らせる蕎麦屋が、船橋にもある。
蕎麦茶からの日本酒
メニュー表に目を通しつつ、毛細血管を丈夫にする作用、高血圧やコレステロール抑制の作用があるルチンが多く含まれているとされる韃靼蕎麦茶を啜る。40代も後半の体には優しい出だしだ。
そしてまずはお酒から。元禄2年(1689年)徳川幕府第5代将軍綱吉の時代に成田山新勝寺の門前に蔵を構え、酒造りを始めた鍋店㈱(本社:千葉県成田市)の日本酒専門店向け製品である『不動』シリーズをオーダーする。
- 『不動 吊るししぼり 無濾過 純米大吟醸生原酒』
原材料は、国産米、国産米こうじ、原料米は、秋田県産の酒こまち100%使用。精米歩合は50%、アルコール度数は17°。「吊るししぼり」とは、醪(もろみ)の入った袋を吊るして、重さで自然と滴り落ちるお酒のみを詰める製法で、軟らかな口当たりが味わえるとされている。
朝食は取らないというのもあって、空きっ腹の五臓六腑に染み渡るとはこのことか、という感覚に至福を迎える。
からのせいろニ八蕎麦
蕎麦は、自家製手打ちのニ八蕎麦。茨城県産や北海道産など時期により最良質な蕎麦粉を使用し、3種類の蕎麦粉と蕎麦殻をブレンドすることで、食感と喉越しにこだわっているとのこと。
一枚は150gなので、欲張りな筆者は二枚注文。大盛にも出来たと思うがくるみダレと蕎麦つゆが足りなくなるので、倍の料金にはならないお得感のある二枚注文がお勧めだ。
濃厚くるみダレは、出汁強めのキリっと辛口の江戸前に近い味付けの蕎麦つゆで割って、薬味を入れて、いい感じの状態に仕上げてから蕎麦を迎え入れる。
胡麻ダレとも違う、胡桃であることで、まろやかさの中にコクを感じることが出来、微かにざらざらとした食感も感じられる。かと言って強調し過ぎることもなく、クリーミーさが加わることで、タレの蕎麦への絡み方が半端無いので、蕎麦の半分ほどをタレに付けて食べる”通”っぽい食べ方が丁度良い。
蕎麦を啜りきるまでに、「蕎麦の香り」「出汁の香り」「つゆの味」「喉越し」の順でお楽しみ頂けると書いてあったが、全くその通りだ。
北習志野駅東口を出て北習志野エビス通り商店街を徒歩で約5分の「三ノ汁」(千葉県船橋市習志野台)。絶品のくるみダレと蕎麦つゆの二重奏に蕎麦が良く合う。正に”Amazing Meal”の名に相応しい一品だ。
ちなみに、蕎麦湯はゆで汁ではなく、敢えて田舎そばに使用される玄粉で別に作っているということで、とろみと香りが強く、こちらも濃厚な味わいが味わえる。