記憶が定着しない虚無感との掛け合い
「覚えていない、つまり「記憶」に残っていないということは、それは「知識」としてあなたの中に定着していないということ。もっといってしまえば、その読書は何の役にも立っていない、ということと同じなのです。」
『読んだら忘れない読書術』
著者:樺沢紫苑、発行所:㈱サンマーク出版、初版:2015年4月20日
いや、少なくとも読書の最中は何かを感じ、思考したり、熱中したりした時間を過ごしたはずで、その時間そのものの存在は無価値ではないだろう、とか、
いや、例え何も記憶として今思い出すことが出来ないとしても、脳の奥底には蓄積されていて、ふとしたきっかけでシナプスが連結して、何らかの作用を起こす可能性は否定できないだろう、とか、
といったような頭の中での掛け合いは誰しもが経験があるのではないでしょうか。
脳のポテンシャルと特徴
脳の果てしないポテンシャルを一方で思いながら、
脳の記憶容量:250万ギガバイト(300年以上のテレビ番組の録画が可能なほど)
『脳メンテナンス大全 最高のパフォーマンスを発揮させる方法』
著者:クリスティン・ウィルミア(Kristen Willeumier)、サラ・トーランド(Sarah Toland)、訳者:野中香方子、発行所:日経BP、初版:2022年1月11日
人類史の長さに比べれば文字などというものがなかった時代の方が圧倒的に長く、脳はエネルギーを要する「文字」の吸収をとにかく嫌がるのだ、といった脳の特徴とのやりとりのような掛け合いにも波及していったりします。
文字とはすでに存在していた言語、その言語の「記録」が主な目的で発明されたのです。当然「文字」を認知する機能は、初めから脳に組み込まれているものではありませんので、インプットのツールとして使うためには、そこから新たに学習する必要があったわけです。脳が文字を嫌うのは至極当たり前のことなのです。そのため、節約家である脳は文字に対する優先順位を下に置きます。
※本文抜粋し繋ぎ合わせています
『一度読むだけで忘れない読書術』
著者:池田義博、発行所:SBクリエイティブ㈱、初版:2021年2月22日
ライフワークの一環としての読書記録のスタイル
不惑にして原型が形作られる
発想の切っ掛け
読書記録のスタイルの元となったのは、下記に紹介する書籍でした。
「その本がなにがしかの痕跡を自分に残したと感じるような工夫を講じることが大切なのだ。それには、著者名と題名、それに少しの引用、遭遇時情報などだけでも、とにかく読書日記をつけてみることが最も有効な方法なのである」
※フランス文学者の鹿島茂の説明としての引用箇所
『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』
著者:奥野宣之、発行所:ダイヤモンド社、初版:2013年11月28日
自身に課した工程と仕組み作り
この箇所を読んで心が救われた思いがしたので、まずは読書ノートのフォーマットイメージを作りました。至ってシンプルに、手書きすることは最小限にしました。
そして、読了後もその書籍と複数回接することができる工程を踏むような仕組みとしました。
〇読む
心に響いたセンテンス、新しい気付き、なるほどと思ったこと等、気になった箇所へ付箋を貼りながら読む。
〇エッセンスの厳選
読了後の付箋箇所を見直して、フォーマットに残したい自身にとっての一番の肝と思う部分や読書ノートの表紙や裏表紙へ貼り付けて置きたいものを物色
〇スキャン
物色し厳選したものをスキャンしてPCに画像ファイルとして取り込む。
〇画像ファイルを加工
スキャンした画像ファイルを読書ノートへの貼り付け用に加工(ページ間の空白部分を削除して繋ぎ合わせたり、該当のページ数を記載する等)する。
〇印刷
〇読書ノートへ貼り付け
これらの工程を一気に実施することはまずなく、各工程を踏むことにより時間を置いて(読む~読書ノートへの貼り付けまで)6度は該当の書籍と接することになります(それぞれの作業中には作業に没頭してしまうのではなく、そこにある文章を読み返すということが必要です)。
そして、
〇読書ノートを持ち歩いて、見直す
書棚の目立つ所に置いて、時間の空いた時や寝る前等、事ある毎に見返すようにし、出掛ける時にも持ち歩くようにしていくと、読了後もその書籍と何回も接することができるわけです。
また、この他に、書籍の表紙のみの一覧を作成して自分の部屋やトイレなど日常で目に付く場所に貼っておいています(あれ?この本何だっけ?となったりしたものは読書ノートを見返す切っ掛けになります)。
終わりのない”格闘”
この読書記録のサイクルにおける最重要事項は、継続していくことです。楽しみながら無理しない(スキャンしてPCに画像ファイルが溜まりがちでも気にしない)で、このサイクルを回している(溜まっているものもいずれ回すと思える)ことで、一定の記憶の定着、人生への寄与が図られているという安心感(自己満足感)が得られることが大事です。前述した虚無感に苛まれることから逃れられるのです。
もちろん、まだまだ改良の余地も有りこの”格闘”は続いて行きます。
「いつ、どのような状況で、どのメソッドを実践したか」「それによってどのような効果が得られたか」を記録したメモこそ、「レコーディング読書」のキモとなります。
『「読む」だけで終わりにしない読書術』
著者:本要約チャンネル、発行所:㈱アスコム、初版:2021年12月8日