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2nd Life from46

「読んだら忘れたくない」読書の価値を広げる読書記録のライフワーク

記憶が定着しない虚無感との掛け合い

 「覚えていない、つまり「記憶」に残っていないということは、それは「知識」としてあなたの中に定着していないということ。もっといってしまえば、その読書は何の役にも立っていない、ということと同じなのです。」

『読んだら忘れない読書術』

 著者:樺沢紫苑、発行所:㈱サンマーク出版、初版:2015年4月20日

 
 全てが目に見えたり、耳に聞こえたりするわけではないのと同じで、記憶も凡そ定着しない仕組みとなっていて、生きていくにはそれで良いのだと思うが、覚えていなければその読書は何の役にも立っていない、と言われれば、それはそうなんだろうなと、このような虚無感に襲われることもしばしばある。

 いや、少なくとも読書の最中は何かを感じ、思考したり、熱中したりした時間を過ごしたはずで、その時間そのものの存在は無価値ではないだろう、とか、

 いや、例え何も記憶として今思い出すことが出来ないとしても、脳の奥底には蓄積されていて、ふとしたきっかけでシナプスが連結して、何らかの作用を起こす可能性は否定できないだろう、とか、

 といったような頭の中での掛け合いは誰しもが経験があるのではないでしょうか。

脳のポテンシャルと特徴

 脳の果てしないポテンシャルを一方で思いながら、

 脳の記憶容量:250万ギガバイト(300年以上のテレビ番組の録画が可能なほど)

『脳メンテナンス大全 最高のパフォーマンスを発揮させる方法』

 著者:クリスティン・ウィルミア(Kristen Willeumier)、サラ・トーランド(Sarah Toland)、訳者:野中香方子、発行所:日経BP、初版:2022年1月11日

 人類史の長さに比べれば文字などというものがなかった時代の方が圧倒的に長く、脳はエネルギーを要する「文字」の吸収をとにかく嫌がるのだ、といった脳の特徴とのやりとりのような掛け合いにも波及していったりします。

 文字とはすでに存在していた言語、その言語の「記録」が主な目的で発明されたのです。当然「文字」を認知する機能は、初めから脳に組み込まれているものではありませんので、インプットのツールとして使うためには、そこから新たに学習する必要があったわけです。脳が文字を嫌うのは至極当たり前のことなのです。そのため、節約家である脳は文字に対する優先順位を下に置きます。

本文抜粋し繋ぎ合わせています

『一度読むだけで忘れない読書術』

 著者:池田義博、発行所:SBクリエイティブ㈱、初版:2021年2月22日

 
 脳の計り知れないポテンシャルを少しでも引き出せるような創意工夫が求められているように感じます。

ライフワークの一環としての読書記録のスタイル

不惑にして原型が形作られる

 小学校低学年時の読書記録に始まったのであろう、読書で得た知識や気付きといったものを自らの血や肉とする営み、その読書がその後の人生に何かしら寄与している実感を得たいがための営み、この格闘は、幾度もの中断期(月1冊も読まない日々が数ヶ月続くような時期)を挟みつつ、(頭の中で考えただけで実行しなかったことも含め)試行錯誤を繰り返して、自分に合ったやり方、自分が継続して取り組めるやり方というものを見出せないまま時だけは過ぎ、40歳になる手前になって現在取り組んでいるスタイルの原型がようやく形作られてきました。
 その後の中断期を挟んで、3年くらい前辺りから、やっと日常に読書が定着してきたと言えるような状況(月に10冊程度を読むような読書が日常化している状況、厳密にはこの3年間は月に8.3冊ですが)になってきて、ライフワークの一環として定まってきた読書記録のスタイルとでも言う雛形を記載したいと思います。

発想の切っ掛け

 読書記録のスタイルの元となったのは、下記に紹介する書籍でした。

 「その本がなにがしかの痕跡を自分に残したと感じるような工夫を講じることが大切なのだ。それには、著者名と題名、それに少しの引用、遭遇時情報などだけでも、とにかく読書日記をつけてみることが最も有効な方法なのである」

※フランス文学者の鹿島茂の説明としての引用箇所

『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』

 著者:奥野宣之、発行所:ダイヤモンド社、初版:2013年11月28日

自身に課した工程と仕組み作り

 この箇所を読んで心が救われた思いがしたので、まずは読書ノートのフォーマットイメージを作りました。至ってシンプルに、手書きすることは最小限にしました。

読書ノートのフォーマットイメージ

 そして、読了後もその書籍と複数回接することができる工程を踏むような仕組みとしました。

 〇読む

 心に響いたセンテンス、新しい気付き、なるほどと思ったこと等、気になった箇所へ付箋を貼りながら読む。

付箋を貼りながら読了

 〇エッセンスの厳選

 読了後の付箋箇所を見直して、フォーマットに残したい自身にとっての一番の肝と思う部分や読書ノートの表紙や裏表紙へ貼り付けて置きたいものを物色

 〇スキャン

 物色し厳選したものをスキャンしてPCに画像ファイルとして取り込む。

 〇画像ファイルを加工

 スキャンした画像ファイルを読書ノートへの貼り付け用に加工(ページ間の空白部分を削除して繋ぎ合わせたり、該当のページ数を記載する等)する。

 〇印刷

 〇読書ノートへ貼り付け

 これらの工程を一気に実施することはまずなく、各工程を踏むことにより時間を置いて(読む~読書ノートへの貼り付けまで)6度は該当の書籍と接することになります(それぞれの作業中には作業に没頭してしまうのではなく、そこにある文章を読み返すということが必要です)。

最初の1冊目は気合が入ってまとめたりしたが、これは長くは続かない

 そして、

 〇読書ノートを持ち歩いて、見直す

 書棚の目立つ所に置いて、時間の空いた時や寝る前等、事ある毎に見返すようにし、出掛ける時にも持ち歩くようにしていくと、読了後もその書籍と何回も接することができるわけです。

現在は8冊目に突入中の読書ノート

 また、この他に、書籍の表紙のみの一覧を作成して自分の部屋やトイレなど日常で目に付く場所に貼っておいています(あれ?この本何だっけ?となったりしたものは読書ノートを見返す切っ掛けになります)。

書籍の表紙の一覧、これを印刷して部屋の壁やトイレのドアなどに貼る

終わりのない”格闘”

 この読書記録のサイクルにおける最重要事項は、継続していくことです。楽しみながら無理しない(スキャンしてPCに画像ファイルが溜まりがちでも気にしない)で、このサイクルを回している(溜まっているものもいずれ回すと思える)ことで、一定の記憶の定着、人生への寄与が図られているという安心感(自己満足感)が得られることが大事です。前述した虚無感に苛まれることから逃れられるのです。

 もちろん、まだまだ改良の余地も有りこの”格闘”は続いて行きます。

「いつ、どのような状況で、どのメソッドを実践したか」「それによってどのような効果が得られたか」を記録したメモこそ、「レコーディング読書」のキモとなります。

『「読む」だけで終わりにしない読書術』

 著者:本要約チャンネル、発行所:㈱アスコム、初版:2021年12月8日

 
 アウトプット(実践)することの重要性や、実践したことを継続して記録していくといった、筆者がまだ出来ていないことや筆者には思いも付かないような他の方法論もきっとあるでしょうし、終わりはないんだろうと思われます。ただし、自分に合った方法、継続して楽しみながら取り組める方法というのは自分自身でしか生み出せないのだと思うのです。